こなつ

エルドラド ナチスが憎んだ自由のこなつのレビュー・感想・評価

4.0
「大いなる自由」の前日譚となるドキュメンタリー、この作品の存在を私がフォローしていていつも参考にしているピョンちゃんのレビューで知りました。紹介して下さって感謝。

1920年代ドイツ・ベルリンには「エルドラド」という官能的で退廃的なナイトクラブが存在した。金持ちや権力者の遊び場であると同時にLGBTQコミュニティの隠れ家でもあった「エルドラド」。しかし、同性愛を迫害するヒトラー率いるナチスに目をつけられてしまう。本作はその当時を紐解く歴史ドキュメンタリーとして非常に興味深い作品になっている。

現代の活動家や著名歴史家などの話は非常にわかり易く、再現映像とともに当時の動画や写真が数多く残っているのにも驚いた。ヒトラーの側近で反ユダヤ主義者であったナチスの高官が同性愛者であったことなども衝撃的に語られている。
100歳を超える当時を知る人の経験やその思いを語っている言葉がとても重い。

「LGBTQ」という言葉すら存在しなかった1920年代のドイツが、正にクィア文化の先進地であったことを知るとともに、他と異なることへの違和感や変化を恐れる大衆の心理は、今のこの時代にも直結していると痛感した。自分のアイデンティティを貫く闘いは今日も続いている。

とても見応えのあるドキュメンタリー作品だった。
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