アキラナウェイ

赤と白とロイヤルブルーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)
3.3
原作は2009年発表の同名小説。
ご覧になられている方が多いようだったので、便乗して鑑賞。

アメリカ合衆国大統領の息子とイギリス王子との恋模様を描く、所謂BLもの。

アメリカ合衆国初の女性大統領であるエレン・クレアモント(ユマ・サーマン)の息子アレックス(テイラー・ザカー・ペレス)は、イギリス国王の皇太孫・フィリップ王子(ニコラス・ガリツィン)とは犬猿の仲。しかし、仲違いはお互いの誤解と知り、次第に親交を深めていき—— 。

米英のロイヤルファミリーである2人が、次第に惹かれ合い、時に擦れ違うラブストーリー。

LGBTQの観点から、お互いに好意を持っているなら誰と誰が好きになろうと一向に構わないのだが、どうも2人の心情がよくわからず、当初あまりにも仲が悪かった彼らがどの時点で恋心を抱いたのかが、よくわからず。

公人にプライバシーはないのか。

当然というべきか、2人のスキャンダルは世界の注目を浴びる。しかし、当人達が然るべきタイミングで公表したかっただろうに、マスコミによってアウティングされてしまう展開は、あまりに酷い。

ザハラという大統領秘書が、アレックスが裸でいる部屋にズカズカ入って来て、隠れているであろう恋人を探そうとする無神経さにも辟易してしまった。

いくら何でも人に対する尊厳を無視し過ぎていて、これは現実には起こり得ないでしょう。

最早、多様性を認める(そうでなければならない)世の中になってしまっているので、劇中にそれ程大きな障壁もなく、アレックスの母親、プレジデント・オブ・アメリカも息子のカミングアウトをすんなり受け容れる、お砂糖たっぷりロイヤルミルクティーの如く甘い世界。

本作に限らず、映画ではよく女性大統領が登場するけど、現実ではまだ1人も当選していないよね?寧ろそちらの問題も根深い気がしたり。

細かい描写が気になって、個人的にはただ眺めるだけの作品に終始してしまって残念。

いや、公人だろうと私人だろうと、誰が誰とくっついてもそれは自由だし個人的には全くNo problem。とはいえ、本作では特に英国王室の歴史の重さも感じられず、些かチープな仕上がりかと。