はせ川

くるりのえいがのはせ川のレビュー・感想・評価

くるりのえいが(2023年製作の映画)
3.4
全国のオリジナル曲を作っていた軽音学部員感涙の映画だった。特にin your lifeのリフが組み上がる瞬間は鳥肌もの。森氏の朗らかさがとにかく笑えた。岸田氏の発するものを佐藤氏がディレクションして固めるというくるりの関係性をはっきりと観れたのも良かった。
ラストに向かうに連れてこの先のくるりと言うか、50代60代と歳を重ねる自分を含むこれからのおじさん達について考えてしまった。東京やばらの花や尼崎の魚を作った時の、二度と得難い感覚を今の自分達でもう一度掴んでみたいというのはある意味禁じ手で、それを自覚的にやった開き直りがこの映画とアルバムの気持ち良さを作っているが、若者だった頃の感覚のまま進むと商業的には続かなかったという旨を終盤で岸田も語っている。禁じ手は何度も使えない。このままのテンションでくるりが次作を作るとか、森くんが再加入するとかは、この先のくるりの道ではないはず。映画で見れる輝きは、あくまでおじさんの夏休みでしか無いと思ってしまった。夏休みだからこそ、カメラが入る事を許したとも言える。感覚を道標にして進んだ先に、振り返っても構わないんじゃないかという、両儀的なメッセージを無自覚に孕んでいる気がした。そしてこれを、くるりのえいがと名付けたのが、素晴らしい。
あと、岸田さん佐藤さん、Tシャツそれしか持ってなかったんですか?
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