ハル

バジーノイズのハルのレビュー・感想・評価

バジーノイズ(2023年製作の映画)
3.6
制作陣が『silent』と同じらしく、ドラマを鑑賞していた縁もあり鑑賞。
原作漫画がヒットしている、のみの事前知識。
端的に綴ると、孤独に音楽を作っていた青年キヨスミが一人の女性と知り合うことで、才能が開花していくお話。

売れたい人、ただ音楽をやりたい人、売れるアーティストを作り出したい人。
それぞれの視点から物語は描かれ、そこへ“友情”をガッツリ絡ませていく。
きっかけって本当に大事だね。
そして、音楽で成功するって本当に難しいのが分かる。
才能、努力、時代、事務所等々、一人で音を鳴らしたいだけのキヨスミが色々振り回されていく様は突出した才能を持つゆえの宿命なのだろう。
優れた感性を持つからこその弊害、良いことばかりではなく、むしろ辛いことのほうが多いように見えた。

今作、役者についてはほとんど知らない方ばかり。
ただ、先入観なく見られたので、これはこれで良かったのかもしれない。
キヨスミを川西拓実、ヒロインの“ウシオ”を桜田ひより。
二人のもつ透明感、繊細なお芝居は作風とぴったり!

「早くいくなら一人で、遠くへ行くならみんなで。でもあんたは一人で遠くへいけちゃうね」
この言葉はキヨスミに投げかけられたものだけど、深く納得。
バンドやグループとしてデビュー後にソロでやり始めるケースは多いけれど、あれと同じ。
夢を叶える道、ともに歩む過酷さを痛感させられた。

『バジーノイズ』は恋愛×青春×音楽をバランスよく配分した邦画。
後半の展開に違和感を覚え、ハマりきれなかった側面もあるが、音楽への独特の切り口が光る青春群像劇でした。
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