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さよなら ほやマンのトマトのレビュー・感想・評価

さよなら ほやマン(2023年製作の映画)
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映画を撮る上で考える必要のある、今なぜそれを撮る必要があるのか?なぜ今"東日本大震災"を影に潜めて、石巻の映画を撮ろうとしたのだろうか。
この作品を観て、正直分からない点がいくつかあった。二人はなぜホヤを食べてこなかったのか、アキラはなぜそこで激しく幻滅したのか、多くを語らず私達に疑問を抱かせたまま作品は最後まで行く。まるで置いて行かれたような気分になる。しかしそのなぜを理解すると(私の場合はトークショーで監督から直接聞いた)、なるほど私たちの思考はどうしても当事者にはなれず、他人のままだと感じさせられた(そう思わせる為にはやはり"なぜ"の解消をすることが不可欠だと思うが)。
大震災を飽和した過去として、概念化させることは非常に簡単であり、無効化である。
敢えて語らないことで、私たちをある意味現実から突き放し、また3.11を具象化しないことであの悲劇を私たちと隣り合わせにする。ストーリー自体はそこまでハマらないものであったけれど、これは適切な観客 対 歴史の可読性を持った正しい映画だと思う。
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