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パラダイス 人生の値段のコマミーのレビュー・感想・評価

パラダイス 人生の値段(2023年製作の映画)
3.7
【寿命が搾取される】



結構途中分かりにくい所は多々あったが、それでもやはり本作で描かれている事には結構ゾッとする事が出来た。

アンドリュー・ニコル監督の「TIME」でもあり、早川千絵監督の「PLAN75」でもある作品で、本作でも"人間の生き方が意図的に搾取"される近未来を描いている。
本作で描かれる搾取は「寿命」。人間が一番大事にすべきいや生命が一番大事にすべきものが、"金持ちに売買"されると言う恐ろしい社会を描いた作品だ。

比較的面白いドイツの"SF作品"だと感じた。設定はとても面白いと思うし、VFXや視覚効果もなかなか良くできてる。
ドイツの人気俳優"コスティア・ウルマン"の演技がとても良かったし、40年もの寿命が搾取された姿の主人公"マックス"の妻"エレナ"の姿を演じた"コリンナ・キルヒホッフ"という方の演技も良かった。
ただ、映画としては少々"描いている事が足りず"、本作がドラマシリーズとして作られていたならば、もっと面白く描けていたのではないかと感じてしまった。結末もそんなに引き込むような終わり方でもないし、惜しいなと言う感じがした。悪役"ソフィー"の背景についても、ドラマシリーズであるならば充分に描けたはずだ。

とはいえ、「TIME」や「PLAN75」同様に搾取を背景に描いた作品としては充分興味深い内容であった。
政府による様々な搾取が続いている日本もそう、同じ事が起きている国ならば尚更観ていて飽きない作品になっているのではないかと感じた。

勿論、本作で描かれている事ももしかしたら…。
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