ENDO

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのENDOのレビュー・感想・評価

3.8
私的な告白。ある人を好きになると、私はその人を被写体として捉えたいと考える。それは愛というより造形的な欲望であり、最も客体化される人を一般的(ではないけれど)に好きな人と呼ぶのだろう。そう考えると欲望を抱くこと自体を止めることはできないとして、搾取行為との間には隔たりがある。つまり権力(人種や階級など)の勾配によって欲望を欲望のまま行使できる暴力こそがヤバい。その男性的力学が崩壊しつつあるからこそ露呈している事実だ。他者である限り客体化せずにはいられないが、想像はできる。その想像を間違った方向に働かせてはならないことは確かだ。映画の観客はそもそも特権的に被写体を見つめてもいい立場にある。だからこそ人によっては視覚的(かつ視姦的)快楽に耽りやすい。シネフィルは多分にそういう性癖を持っているのだろう。そしてウブな観客はそのイメージに汚染される。映画は洗脳装置として優秀という事です⚠️好きな人のイメージを作り上げ、貪ってしまう自分への戒めとして。鷲谷花『姫とホモソーシャル』を副読本としてオススメします。フェミニスト視点として、二元論に陥らないこちらの方がより解像度が高いと感じました。
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