コマミー

ボトムス ~最底で最強?な私たち~のコマミーのレビュー・感想・評価

4.1
【レズビアンだって人間】




これは今年の「エブエブ」や「バービー」とまだ鑑賞していないが「ソルトバーン」と共に、今年の顔となった映画になったのは間違いないと思った。

本作はレズビアンに対するあらゆる今現在の一般的な"表象"を変えた作品だと思うし、「スーパーバッド」や「ブックスマート」など数ある"ティーンムービー"の要素を兼ね備えて、誰でも馴染めて、それで且つただ美化されるだけだったレズビアンを含め少数マイノリティの人々の価値観を圧倒的に変えたおバカコメディとなったのである。
"チアリーダーとヤるため"に気を引くために「ファイトクラブ」を設けるという出だしからして本当に馬鹿馬鹿しい内容だという事が分かるのだが、同時に男女や数多のマイノリティ問わず、こんな"自分勝手な人間"もいるし、誰しもが"完全なフェミニストになれる訳ではない"事を示しているのである。この主人公2人の立ち位置も、一つのレズビアンとしての"ありのまま"なのである。

そして本作は学園間で起きた"テロリズム事件"も描いており、そこから始まる友情や愛の確立みたいなものも描かれており、とても楽しかった。
ただ、2人は決して英雄になれたとかそんな描き方はしておらず、結局は主人公2人は真に自省する事はないというオチで終わるのだ。

つまりは、人々フェミニズムの価値観を変えるために連帯するのも確かに素晴らしい事なのだが、そんな堅苦しさも必要はない事を知らせてくれる作品だったのである。少数マイノリティの人間の中にも自分の意思に忠実な人も限りなくいる事を、おバカ要素満載で面白おかしく知らせてくれる新感覚LGBTムービーだった。主人公2人を演じた"レイチェル・セノット"と"アヨ・エデビリ"の演技がめちゃくちゃ面白かった。監督の"エマ・セリグマン"とこの主演2人は、大学時代からの友人らしい。この3人の今後の活躍に期待大だ。

ともかく、本作は2023年の顔と言うべき作品だし、もっと言えば、今後のクィア映画の象徴的映画となった事は問答無用で間違いない作品だった。

アマプラありがとう😭
コマミー

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