カトリーヌ

突入せよ!「あさま山荘」事件のカトリーヌのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

公開から十年以上も経過して見てみた訳だけれども、なるほどなるほどと思う事があれこれと。

警察サイドの視点だけで活動家側の描写がほぼ皆無という指摘は賛否両論が当時から多数あったようで、後に若松孝二が山岳ベース事件も含めた連合赤軍の事件を描くきっかけのひとつになった作品でもあったのだろう。後年には楯の会も映画化。思想の差異はあれ熱量のある当時の若者達を丁寧に描いた感のある二本の若松作品だったが、正直なところ映画の「語り口」としてはこの原田眞人作品の方が面白いと感じた。
警察視点とはいえ権力礼賛であるどころかその組織の脆弱さを見せる形になっているし、活動家側の視点がない事は「警察対連合赤軍」ではなく「警視庁対県警」という現場、内部の葛藤に重点を置いた結果だからだろう。その辺りを役者達の台詞の応酬で見せる感じは好き。

知らない史実を映画で学ぶという事は数多くあったが、それはあくまで副次的なこと。史実を知る術はたくさんある訳で「映画でなければできない事」とは違うはず…とか何とかここまでごちゃごちゃ書きながら連合赤軍映画に関して原田>若松みたいな感じになっちゃったけど、この映画も全体として見りゃそれほど好きじゃないんだよなぁ。語り口は楽しいけれど、音楽とか、台詞の聞きづらさとか、倅とか(黒部の太陽のルビーの指輪ぐらいひどいよね)、ずさんだなぁと感じる部分も割と多いし。

結局感想がまとまらなかった。今作と「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を見て双方の視点から色々と考えてみる、なんてのがいいんじゃないでしょうか。あ、時間があるなら「光の雨」とかも。