イップだいふく

突入せよ!「あさま山荘」事件のイップだいふくのレビュー・感想・評価

5.0
これは原田眞人監督のマスターピース。なぜこの作品が賞レースや口コミで話題にならなかったのか不思議でならない。政治的あるいはアクション映画を期待した方には確かに微妙な映画だ。タイトルが誤解を招いたのは残念。

しかし長野県警と山梨県警の小さな縄張り意識を、日本人特有のサラリーマン社会に見立て、その軋轢に入ってゆく主人公の役所広司はやっぱり巧い。行き詰まった夜に、役所がオーケストラのタクトを振るシーンは鳥肌。

日本人なら納得の人間同士の小競り合いを、コメディにする監督の俯瞰の演出は、外国人には奇妙に映るだろう。
こういう傑作が評価されない原田眞人監督が気の毒でならない。