石

突入せよ!「あさま山荘」事件の石のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 誰と戦ってるのか。

 警察と連合赤軍の衝突と思いきや、描かれるのは一貫として警視庁機動隊vs長野県警察機動隊。指揮幕僚団として派遣された佐々淳行視点からの両者の足の引っ張り合いは中々に強烈。佐々著の『連合赤軍「あさま山荘」事件』を元にしているためか、おそらく脚色されてるのであろう極端な部分が多いです。どこもかしこも怒号の嵐で会議室でさえ会話が成立していない、そんな中陽気なbgmをバックに冷静に奮闘する佐々みたいなね。佐々自身多分すごく現場では叫んで暴れて怒り狂ってたと思うんですけど、記憶の中で"自分だけはマトモだった"風に改変されてったんじゃないかなと。佐々に親しい人物しかまともな人間として描かれてないを見ると、相当あらゆるものに怒りを覚えていたんだなと思ったり。

 赤軍側を全く描かないのは、この事件の内部紛争状態を描くためだったのと同時に、佐々から見た警察組織の醜態に終始したかったからかなと。ヘラクレスの選択という言葉が2回も出てくるくらい「僕苦労しましたぁ」というのが滲み出てくる作品。
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