へたれ

リアリティのへたれのレビュー・感想・評価

リアリティ(2023年製作の映画)
3.3
良かったとこ1 地味な演技が徹底している
ドキュドラマということで、シドニー・スウィーニーにまったく華がないのが良かった。すでにだいぶ有名になっている俳優ではあるけれど、この映画の中ではごく平凡なアメリカ人で、リアリティ・ウィナー本人を真似ることに徹しているのは好感が持てた。

良かったとこ2 FBIの何気ない所作に緊迫感がある
80分程度の短さで、しかもペットやフィットネスジムの話など世間話が半分くらいある。怖いのはむしろ世間話をしている時で、一見和やかに歓談をした直後に立入禁止のテープが無言で貼られたり、スマホのロック解除を絶対に本人にやらせなかったり、捜査の手順は淡々と行われるのが、むしろ容疑者を追い詰めているというサスペンスを生み出していた。

ダメだったとこ1 尋問としての迫力不足
FBI捜査官たちは尋問する前から真実を分かっており、犯人も嘘をついたり矛盾した発言でボロを出したりはしないので、この尋問自体がそれほど面白くはない。それをそのまま戯曲にしているので、80分の短さでもまだかなり冗長。

ダメだったとこ2 映画的な試みが失敗している
一幕ものの舞台とは違って編集が入り、さらに伏せ字の台詞では人物じたいも画面から消えるという不要な演出がされてしまうので、密室で主要人物3人が話しているという緊張感が削がれてしまっている。舞台の映画化としてはうまくいっていない例の一つ。
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