第73回ベルリン国際映画祭パノラマ部門。トランプ政権を揺るがした米国家機密リーク事件、逮捕当時のFBI尋問記録を＜一言一句＞完全再現した作品。FBIが来た時点で捜査令状が発行されているため、会話を完全再現しているのだけれど、緊張感があまりない。命の危険が迫るとかバレたら死刑になる、という事案ではないからだろう。実話を元にした作品で、リアリティさんは、そのまま逮捕・収監されている。この展開に違和感があり、彼女は機密漏洩をしている一方で、国家機関が隠蔽していたものを暴露している。企業などが違法行為をしている時には、公益通報制度があるのだが、彼女は逮捕収監されていることに、法や社会の歪みを感じる。米国は、今も民衆が対立した国家なので、作品後半でも、彼女の行為に対して、両者が主張を繰り返しているが、その姿が現実なのだなと。爽快感を得るような作品というより、米国の現状を突きつけられる作品。
