ねむろう

リアリティのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

リアリティ(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_234


私は、いかにして
”国家の反逆者”になったか――


【簡単なあらすじ】
2017年アメリカ。リアリティ・ウィナーが買い物から帰宅すると、見知らぬ2人の男性に声をかけられる。笑顔を向け自らFBI捜査官だと名乗る彼らは、ある事件に関する捜査を行っていると告げる。「引っ越してどのくらい?」「ペットはいる?」…気さくで穏やかな口調のまま何気ない質問を繰り返す彼らだったが、会話は徐々に不穏な空気を帯びはじめ、ある衝撃の真相へと切り込んでいく…



【ここがいいね!】
非常に緊張感・緊迫感のある作品でした。
そう感じるのは、作品の中盤から聴取の舞台となる家の奥にある本当に何もない部屋の息苦しさもそうですし、聴取をするギャリック捜査官とテイラー捜査官の話ぶりだったり、音楽などの演出によるものだと思います。
しかし、文字起こしされたものをただなぞるだけでは感じられない、やりとりの流れや、追い詰めて聞き出していく言葉自体が、その緊迫感を増幅させていたのだと思います。
そして、最終的にはアクションも逃走劇もない、ただただ女性が身柄を拘束されるというところが作品の結末なのですが、それがなぜかドラマチックであるというところが、この作品がしっかりと一つの完成したものとしてそこにあるという証明なのだと思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
彼女が流出させたというのが「アメリカの大統領選におけるロシアの介入の証拠」になるわけですが、作品の中では実際のニュース映像でなんとなくそれが示唆されるわけです。
しかし、その不正疑惑がどんなものであるのかということをあらかじめ知っておいた方が良かったかなと思います。
一方で、それが本当なのかどうかということすらもわからない現状で、分からない話をわからない情報を入れて見ていくところの危うさもあると感じました。



【ざっくり感想】
とはいえ、事実として彼女は逮捕されてしまいましたし、実際にそれがどうだったのかというところの検証は、あまりされていないというところ自体に、この作品が訴えたいところがあるのだと思います。
そんなところを見ると、アメリカの民主主義というものの欺瞞性が描かれているようにも感じました。
もう少しパンフレットや当時のニュースを振り返って、色々と調べてみる必要がある作品でした。
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