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リアリティのumisodachiのレビュー・感想・評価

リアリティ(2023年製作の映画)
3.7



米国国家機密をリークして逮捕されたリアリティ・ウィナー。FBIによる尋問の様子を録音データを基に完全再現した異色作。

スーパーから帰宅したところに訪ねてくる温厚そうな男性2名。世間話から始まる穏やかな空気の中に、そこはかとなく漂う緊張感。FBIだと名乗る彼らの迅速な行動と、回り道をしている風で着実に核心に迫っていく会話……あまり今まで観たことがないタイプの映画だった。

会話の途中途中でピー音が入るのだが、核心に迫っていくに連れてその内容がどんどん明らかになっていく。おそらく最初からピンときているであろうリアリティは、できるだけ動揺を見せないように対処しようとするが、その表情の変化がとてもリアル。

明確な目的を持って特殊な技能を身に着け、真面目に働いてきたであろうリアリティという女性。キャリアだけ見たらゴツゴツした感じがするものの、ジブリアイテムを部屋に飾ってヨガをし、犬と猫を飼っている普通の若い女性でもある。でも、散弾銃を所持していたりもする。ひとりの人間は色々な面を持っていて、そのどれもが真実なのだということを思い知らされる。

リアルタイムで進んでいく会話は、退屈ともいえるしスリリングともいえる。あまり前情報を入れずにいた方が、先が読めなくて楽しめるのかもしれない。

それにしても、これで5年も食らうとか……怖。メディアが情報源をリークしたとは考えにくいから、職員ひとりひとりの行動を追っていってってことでしょ?国家に属する機関で働くの怖い。

リアリティ本人も後悔はしていないようだが、彼女の行動について一定の理解を示しているまとめ方も良かった。



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