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見えざる手のある風景のギャスのレビュー・感想・評価

見えざる手のある風景(2023年製作の映画)
3.3
シニカルな面白さ。
のんびりした音楽や宇宙人の造作とかゆるいし、淡々としていてハードルは低いけど、社会風刺の比喩的表現に満ちていて、ニヤッとしたりゾッとしたり。
宇宙人に対して「なーんかやだなぁこいつら」と感じたら、いったい何が嫌なのか、現実の何を連想するかを考えて面白くなってくる。

ネタバレ
支配を「君たちのためいいこともしてるし」と言い換えたり、海外での給料の方が高いから元の国での医者のキャリアを捨てた運転手がいたり、言葉もあまり通じない外国人妻を支配したり、壁画を美術コレクターが持ち去ったり(そして都合よく加筆してメッセージを改変したり)、中産階級の黒人を白人が妬んでなじったり(これは比喩じゃなかった)、、どっかで見たこと聞いたことあるぞー的なエピソードがコミカルにたくさん散りばめられている。
金のために文化やプライドを捨てざるをえない様子や事情を、宇宙人という枠外の存在によって"普段恵まれた捨てさせる側"に体験させるための映画だったのか。
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