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見えざる手のある風景のKotaのレビュー・感想・評価

見えざる手のある風景(2023年製作の映画)
3.7
“私達、大丈夫かなって。”

近未来、知的生命体の上陸により人間のテクノロジーは壊滅的に。友好的に地球に住み着いた異星人達は空に浮かぶ都市を作り、地上に生きる人間の“愛”や“情緒”という自分達に無いものを“趣深い”として楽しんでいた。若いカップルは自分達の恋愛を配信することで生計を立てようとするが…。

地味なんだけど皮肉的なテーマが最高に面白い。今まで見たことのないようなエイリアンの新略と、静かな支配、人類の終わり。物理的ではなく社会的に少しずつ壊されていく人間社会。搾取していた側がされる側に変わる脆さ。人間よりも人間の“生態系”に詳しいエイリアン。動物性でなく、遺伝子組み換えでコピーされた食料。エイリアンのデザインや言語の訳のわからなさ。人間が部外者に敵対的な種族だと知り、50年以上コンタクトの機会を伺っていたという、まるで動物園を表すかのような表現。その全てが妙にリアルで、ゾッとする。

人間より頭の良い種族がいたとしたら、こんな侵略を行うんだろうな…。新たなタイプのディストピアもので斬新且つ面白かったです。
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