TaiRa

ラブ&ポップのTaiRaのレビュー・感想・評価

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)
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赤い海から始まるので実質エヴァ続編。日本初のデジタルシネマという点と変なカメラワーク以外は割とまとも。

庵野秀明が『エヴァンゲリオン』直後になぜ村上龍なのか、なぜ援助交際なのか。実質的に『エヴァ』と描いたものは同じで、自己批判。女をモノとして消費する男、社会、そして自分自身に対する嫌悪、後ろめたさ。と、抑え切れない欲望など。少女たちを撮りながら、描きたいのは少女を買おうとする壊れた男たちというのがよく分かる。この後、宮崎駿が丹念にカオナシを描いていた事と同じ。言ってしまえば『エヴァ』旧劇ラストの「気持ち悪い」を一本の映画にした様なもの。少女たちの視点を借りて自己批評する。少女に説教する浅野忠信が最も壊れた人間として描写されるが、彼を全否定しない。あの男の持つ女性嫌悪を狂気としつつ、どこかで共感も示している。援助交際を題材にしつつ、男を断罪出来ない歪さと女への歪な願望が混在する。どうしようもなく庵野秀明の作品。ビデオカメラによる映像と極端なアングルは、剥き出しのリアルとデザインされたフィクションの両面持ち合わせる。ルーズソックスという記号に集約される少女たち、男性器視点から見上げる男たち、物質の主観、見下ろされる人物。街の記録にもギリギリなっている。この頃から今に至るまで何時までも未完成の街となった渋谷の姿。109とPARCOが中心だった時代。劇中で施工中のQFRONTがオープンした1999年に児ポ法が公布。女子高生を消費するブームって何だそれ。東京で一番嫌いな街の活気ある時代が少し見られて面白かった。
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