湯っ子

ラブ&ポップの湯っ子のレビュー・感想・評価

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)
3.8
この映画を観た後、なんとなく浮かんできたのが“Smells Like Teen Spirit”、Nirvanaの言わずと知れた名曲のタイトル。これまで歌詞の意味を気にしたことはなかったのだけど、調べてみたらなんだかドンピシャな内容だった。
思春期の鬱屈したリビドーのsmellを連想していたのだけど、“Teen Spirt”は、ティーン向けの制汗剤の商品名らしい。作者のカート・コバーンは「カートってティーン・スピリットの匂いがする」っていう友達が書いた落書きからタイトルをつけた、これは有名な話なんだそう。リビドーと制汗剤の混じった匂い、それってまさに10代の匂い。たまにいくつになってもそんな匂いをさせてる人がいる。エヴァは全く知らないながらも、見聞きする情報とこの映画から、庵野さんというのはそういう人なんじゃないかと思いました。

女子高生というブランドがおおっぴらにお金になった時代。援交でおいしい思いができるなんて大間違い、年ばっか取った幼稚なおっさんに消費されるだけ。だけど、監督は彼女たちを消費しようとはしてないことはよくわかった。純粋さと凶暴さが不確かに見え隠れする最ヤバキャラの浅野忠信とのシーンは、観ているこちらもかなりの恐怖を覚えるのに、女子高生を消費するような撮り方をしてない。このシーンに感心した何様な私は、盗撮みたいに女子高生を下から撮るカメラのことは許してあげることにした。

気持ち悪さと切なさとが入り混じった感情のまま突入するエンドロールがすごく良い。浅くて汚ない川をどこまでも歩いてく女の子たちの、まっすぐな瞳とおぼつかない歌声がいつまでも心に残って、思い出すたびに胸がギュッとなる。
湯っ子

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