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Floating Holidays フローティング・ホリデーズのKUBOのレビュー・感想・評価

4.5
㊗️2月16日公開‼️

早く見たくてずっと楽しみにしていたけど、軽く期待を超えていった!

今日の試写会は、教え子「武田航平」と「小澤真利奈」さんダブル主演の『Floating Holidays』プレミアム試写会!

本作は世界各国の映画祭で36の賞を受賞、カンヌ国際映画祭にてノミネートの最終審査にまで残った、世界が注目する話題作だ。

まず、見たことのない武田航平がいる。登場シーンからかなりのクズ野郎(笑)! 大学には行かずに、朝から酔っ払ってパチンコばかりしている。

今までヒーローやBLなど、イケメン俳優として活躍してきた武田航平とは大違いだ。

だが、それがいい!

もちろん、素の武田航平とも真逆とも言っていいキャラなのに、それが自然なのは増田監督による当て書きだから。

ここで「え?」っと思う。おそらく多くのTVドラマで武田に当て書きした時には「イケメン」の印象に影響される。だが、増田監督は武田航平がライダー出身の俳優であることすら知らずに、実際にあった武田の印象で当て書きをしたのだと言う。その刷り込まれた印象がなかったからこそ、この自然な素晴らしい演出と演技が生まれたのだと思う。

ストーリーは武田航平演じるマーちゃんの姉ミカ(小澤真利奈)が適応障害と診断され転地療養のために福岡にやってくるところから始まる。

そこに転がり込んでくるのが、前述のだらしない弟マーちゃんだ。最初のうちこそ、このマーちゃんの言動に振り回され、イライラさせられるのだが、この2人の姉弟の自然な会話がおもしろい、おもしろい!

お姉ちゃんの鋭いツッコミ、何を言われても気にする様子も見せないマイペースなマーちゃん。

すごい長回しでこれを撮るんだけど、演技臭さの全くない自然な空気に驚かされる。武田航平、こんなに上手かったのか。小澤真利奈ってすごいな、と。

そして、本作でもう一つ驚かされるのが、その撮影方法。なんと撮影の「ほりたよしか」さんは本職はスチールカメラマン。よって本作は全て動画撮影のできる一眼レフカメラで撮られているのだ。だから長回しも最長15分まで。

作品内にはスチールカメラマンならではの、静止画をコマ送りにするような効果や、美しく印象的な絵がいっぱい。

私は特に、鯉のぼりが棚びく川沿いを武田航平が自転車を走らせるシーンや、ラストシーンのショットが大好き! 本当に心に残る映像だ。

最初はイライラさせられっぱなしだったマーちゃんの存在が、何もかもを完璧にやらなければいけないと自分を縛っていた姉ミカの心をほぐしていく。

ナレーションなし、誘導するような演出もなし。ただ姉弟の生活の中での自然な会話に、クスッと笑って、心が温かくなる。

本作が初めての長編となる監督・脚本の増田有美さん。この感性は天才かもしれない。素晴らしい映画だった。

武田航平ファンの方には、この見たことのない武田の新境地をぜひ見ていただきたい。

『Floating Holidays』、傑作です。
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