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悪名桜のmitakosamaのレビュー・感想・評価

悪名桜(1966年製作の映画)
3.5
スカパーにて。面白い!!!マンネリ化したシリーズだと思っていたが予想外の面白さに目が離せなかったわ。

シリーズ12作目で、いつまでも任侠家業をしてられなくなったからか、堅気になり細々と焼き鳥屋を営む朝吉・清次。お客さんと談笑して、商いでも名コンビぶりが垣間見えるのが微笑ましい。
そんな中、二組のヤクザの抗争が起き、なし崩し的に巻き込まれる。
焼き鳥屋の大家の息子がなかなかのヤンチャで、新興のヤクザの組に入りたがる。見放す親に怒る朝吉。

注目なのはヤクザの組を“暴力団”だと連呼していること。斬ったはったの任侠の世界ではなく反社会性力としてハッキリ言い切ってる。
実は今作以前の悪名シリーズには無かった描写だと思う。
朝吉・清次は変わらずとも、世の仁侠道は過去の遺物と明確に表した描写。堅気で焼き鳥屋を営む事といい、社会の時勢が変わったのだと伝わる。
これって悪名シリーズで相当なエポックな出来事でしょう!!!

そしてゲストヒロインが存在せず、代わりに市原悦子演じる幼なじみが押し掛け女房的に居座る。ヒロインと朝吉が恋愛劇にならないのも新鮮。というか毎回意味不明にモテるのがリアリティ無さ過ぎるのよね。

大家が息子の不祥事に暴力団を利用しようとして、逆に食い物にされるのも実にリアルだし教訓めいてる。

シリーズ第一弾が戦前で、戦後の混乱期を経て遂に現代にまで来たか、という印象。
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