nobsang

さよなら萩ツインシネマのnobsangのレビュー・感想・評価

さよなら萩ツインシネマ(2023年製作の映画)
3.7
地域の自主制作映画という前提で見れば、私的にはすごくアリでした。
自虐的ブラックユーモアだけではない、なんていうか…地方の姿、をきちんと描けている映画と感じます。
正直、地元エキストラを使おうとするが故の?雑なシーンやセリフの棒読み度合いはあり、そこを「ご愛嬌」として解釈するか否かが人によって大きく異なってくると思います。

実存する地方のジリ貧の映画館(本作、その映画館で鑑賞しました。観客は私と連れだけでした)を舞台に、奮戦する女性オーナーと、その家族や周りの人たちの話。

クラウドファンディングでデジタル映写機を導入し、現行の映画も導入できるようになったところで、客足が増えるわけでもない。
市民も閉館しますよと言われたときしか足を運ばない。
「まだやっちょるんか?!映画館?」と酔っ払いにツッコまれる始末。

「さよなら萩ツインシネマ」というタイトルも、お話のなかできちんと回収されるのも良いですね。

東京からやってきた駆け出しの若手監督が、もう一本の話の軸になっているのがいい。他人事のようにド田舎の風景と変人オーナーを眺め、呆れ、憤り、それでも上映してくれる、観に来てくれる(かもしれない?)人たちへの感謝や人情をもって、みたいな。

無意味なくだりも多かったんですけど、そこも絶妙な田舎町感があって、いいんですよ。否かってこういう時間の使い方する出来事ありうるよなぁ、っていう。

あとオーナーの息子娘の兄弟の衣装がいいです。ちょうどいい田舎者感がすごい。

ただ、
ただですね、
この採点はわたしが萩市出身であり、多くの映画を実際に萩ツインシネマで観てきたから、という事実が採点に下駄を履かせていることも間違いないでしょう。
子供の頃に連れて行ってもらった事も何度もあります。
ティーンズの頃には、自分で観に行ったのは「タイタニック」「もののけ姫」「マトリックス」「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」は確実に覚えてます。
劇中の映画館に原体験をもった、萩市出身の映画好きがここに一人いるよ、という話です。はい。
nobsang

nobsang