地下格闘技賭博で生活する貧しい青年が謎の男に追い回されるミステリー。そう聞くと追う者と追われる者ジャンルの金字塔であるハリソン・フォードの『逃亡者』を思い出すが、その足元にも及ばない。思惑が入り乱れるケレン味風味な展開でも、なかなか楽しめたが、やはり視点が大事だ。観客が誰視点で観れるか、自分は韓国俳優にそこまで詳しくはないのだが、おそらく稲垣吾郎みたいなナル全開な追う男役がスターなので、彼中心に展開させたかったのだろうけど、面白いのは絶対に芋臭い向井理っぽかった逃げる男側の視点である。そこを脇に徹させてしまったがゆえに緊迫感に欠けてしまったようで非常に惜しい。
