ねむろう

ポッド・ジェネレーションのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

ポッド・ジェネレーション(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_246


ポッドから赤ちゃんが生まれる時代
私は、あなたは――。


【簡単なあらすじ】
近未来のニューヨークで暮らすレイチェルとアルヴィー。大企業のペガサス社は、持ち運び可能な卵型の《ポッド》を使った気軽な妊娠を提案する。ハイテク企業に勤めるレイチェルは新しい妊娠方法に心惹かれる。一方、植物学者のアルヴィーは自然な妊娠を望む。そんな二人が、出産までの10ヶ月の間、《ポッド》で赤ちゃんを育てることを選択したーー。



【ここがいいね!】
「子どもが生まれる」「妊娠をする」ということに対する、新しい見方・考え方を提示する作品だったと思います。
そんな中で、奥さんは先進的なハイテク企業に勤めて、その一方で植物学者をしている旦那さんの夫婦が、赤ちゃんをポッドによって人工的に生まれるまで育むのか、原始的な出産をしていくのかというところの間で揺れる姿が、非常に微笑ましかったです。
作品の中では、自然派な旦那さんがどんどんポットを抱っこ紐で抱えて、ポット(赤ちゃん)に対して愛情を持つようになり、一方で奥さんが旦那さんの育てている植物や自然に対して愛着を示していて、前半に描かれていたこととクロスしていく脚本もとても面白かったです。
また、セラピストである人工知能イライザの造形もディストピア感が漂っていたりと、時には微笑ましく見えるところもあれば、一気に社会風刺的に問題を突きつけてきたり、2時間に満たない作品ではありますが、非常にバランスのとれた作品だと思いました。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
もちろん、作中のセリフにもあるように、このポットによって「女性が妊娠から解放される」という話も含まれています。
しかし、ここまで科学が進んでいる世界でも、「女性の生理」といった話には全く言及されていなかったわけです。
そう考えると「生理」そのものの価値というか、社会的にその「生理」がどのように受け止められているのかというところは、さらに考える必要があるのかなと感じました。



【ざっくり感想】
考え方や生き方が多様化していく中で、子どもの育て方・生み方も多様化していくことは、間違いなくあり得るでしょうし、科学によって、様々な苦しみや不都合が解消される可能性もあります。
その一方で、そうなった時に、生物としての人間の営みというものが何なのか、どうあるべきかということも、考え直す機会が来るのだろうというふうに思いました。
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