口の悪いねずきち

ラ・メゾン 小説家と娼婦の口の悪いねずきちのレビュー・感想・評価

ラ・メゾン 小説家と娼婦(2022年製作の映画)
3.7
この映画は私にとって他人事ではない。
私は花魁の血を引いているからだ。
まだ戦争前で曾祖父にお金があった頃、上級花魁だった曾祖母を身請けした。

もちろんこの職業に就くまでの過程や理由は違うが、やっている事は大きくまとめれば同じである。

だが生憎、私は性産業で働いた経験はない。
それは倫理観などではなく、客を選べないからである。
高級店なら紳士的なお客様が比較的多いのかもしれないが100%ではない。

ストーカーになったり、薬を盛られたり、脅されたり、盗撮されたり。
もちろん病気に罹る可能性だってある。

先日も有名店で殺害されてしまった子がいた。
犯人が捕まろうがなんだろうが、被害に遭ってしまってからでは遅い。

よほどの訓練をつんでいないかぎり、男と女が部屋に2人きりになった時、力で女が勝てる事はまずないだろう。

ただ、この主人公の気持ちはとてもよくわかる。
私も好奇心が強いほうだし、危険因子がゼロならば覗いてみたい世界だ。
愛人業には興味がない。
どんな客がきて、どんな女たちが働き、どんな人間が仕切りまとめているのか。
普通に見える人間のほんの隙間をみてみたい。
それには取材対象として話を聞くだけでは無理なのだ。
そこには決して目には見えない厚く高い壁がある。
中に入り込まなければならない。

是非とも原作を読んでみたいと思う作品だった。

ちなみに、ジャパンプレミアに行ったのだが、監督のスタイルが良すぎる上にかなりの美人なのでそちらが主演女優なのかと勘違いした。