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ファッション・リイマジンのTheCharacterのレビュー・感想・評価

ファッション・リイマジン(2022年製作の映画)
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ファッション関連の映画はつまらないというか、後を引くような、印象に残り続けるものがあまり無い。そうした意味で本作は異例であった。"服を着る人すべてに観て欲しい"という一文は、鑑賞後に大きく印象を変える。言い換えれば、「現代社会に生きてる奴全員観ろ」ということだが、まさしく。本作において、服作りは主題かつサブテーマであることが興味深い。本当に見せたいものは、製造過程において発生する不都合な現実であろう。ファッションへの思い入れが強いほど刺さる内容ではあるのだが、視聴者を限定せず観られるべき作品。服を着ずに生きている人の方が稀なのだから。化繊を洗濯するだけでマイクロプラスチックが流出するって地獄すぎる。衣服に限らず、環境汚染、命あるものへの非人道的な手段を用いて誂えた製品等と、我々の生活が不可分であることを悲劇と言わずして何と言おうか。学びと実践を継続する以外に道は無い。ラストに示される事実も相当にヘヴィではあるのだが、変革への機運は確実に高まっているはずで、長い時を経た先にある未来は明るいものと信じたい。創造と経済が結びつくことで発生する矛盾。いずれそこに幸福な均衡があるように願う。飽きずに、あっという間に観られる構成も見事。
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