たかちゃん

私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?のたかちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
原子力発電会社の労働組合代表が主人公。しかし、ハナシは原発の是非や、不当労働行為など労働問題ではない。労組代表のモーリーンが、自宅で何者かに暴行を受ける。警察のずさんな捜査で、自作自演だったと強制的に自白させられる。その事件の背景には、原子力発電会社のCEOが、中国国有の原発公司に気密性の高い技術を移転させ、中国に原発を作らせようとしていた。モーリーンはこれを内部告発していたのだ。モーリーンは虚偽の告発容疑で有罪判決を受けるが…。
本作は、実話をマーリーンの自分自身との闘いとして描いている。ユペールの無表情の中に秘めた意思の強さ。彼女を支える夫、労組の仲間達や女性警官の存在が良い。
日本でもずさんな捜査やストーリーに沿った自白強要の実態が明らかになっており、よそ事ではない。そして、中国への技術流出。本作は裁判劇の面白さを堪能させてくれるが、不気味で不安な闇に包まれたスリラーでもある。
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