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私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?のせっのレビュー・感想・評価

4.0
"被害者らしい振る舞い"

フランスの原発会社の労働組合で働くモーリーン・カーニーが中国との技術移転契約を告発しようとしたところ、何者かに強姦されたが、それが自作自演として有罪にされてしまう話。

内部告発されたらレイプされた上、振る舞いが被害者らしくないから加害者として告発されるという人権もクソもない話なんだけど、それでも、敢えて観客にモーリーンを疑わせる。

犯行後に取り乱さないから怪しい?証拠となる椅子を焼いたから怪しい?犯行時の状況をうまく説明できないから怪しい?とても正常な思考や行動が取れない状況を筋道立てて話せと言われ、取り乱さず冷静に話そうと思ったら怪しいと言われ、だからといって泣き喚いても精神おかしいと言われる。この世界はクソか?

そもそもモーリーンは彼女自身が活動していたのだけど、第1の被害者に至っては直接関係してたのは彼女の旦那。女性であるが故に被害にあい、その後男性社会の仕組みの中でもう一度被害に遭う。社会は男性が作ったものだと感じさせてくる映画だった。

そこにもうひとつ乗っかってるのがモーリーンが原発会社の従業員を守る立場であったこと。純粋に雇用を守ってるんだけど、それが原発の会社と思うと無知な私はなーんか純粋な気持ちでモーリーンのこと見れないというか。原発と聞くだけで全てが悪に思えてしまう先入観が"フクシマ"以来刷り込まれてるんだなと実感した。
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