Misaco

変な家のMisacoのネタバレレビュー・内容・結末

変な家(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 原作未読。
 変な家というか、何この変な流れ……となる映画だった。
 題材は面白いし、役者の演技も良かった。一つ一つの事象もそこそこ怖いと思う。
 でもその事象同士を繋ぐのが壊滅的に下手だった。そうはならんやろ! を何回心の中で叫んだかわからない。


■変な間取りの家がある。まるで子どもを監禁しているかのようだ →わかる
■子供部屋の真下に謎のデッドスペースがある。浴室に繋がる隠し通路だ→ わかる
■客人を招いて子どもに殺させるための間取りだ! →は???

 いやそうはならんやろ。結果そうだったけどいきなりそこに話いかんやろ。
 「いやまああくまで想像だよ?」と言いながらその想像を前提にして答え合わせをし始めるので、腑に落ちないまま物語が進んでいき大変ストレス。


■赤ちゃんしかいないはずの隣人宅に見慣れぬ人影が見えて不審に思った →わかる
■せや!撮影したろ! →は???

 いやそうはならんやろ。写真拡大して仮面バーン! をやりたいがために無理ありすぎ。


■自分では何もわからないし手がかりもないので雨宮さん頼りました… →わかる
■急に素性を明かしても不審がられると思うので偽名使いました… →わかる
■本家には何回か行ったことあります母に聞いてみれば何か分かるかもここからは私一人で行きます →は???

 手がかり全然あるし一人で行けるんじゃないですかやだー! 雨宮を巻き込みたいがために無理ありすぎ。

■何かに気付いて柚希母の家に一人残る栗原さん →なんだなんだ
■押し入れを開けたら例の仮面が! 「おかしいと思ったんですよ」 →ほうほう!
■「なぜこんなものを被って雨宮を襲ってまで本家に近づくことを阻止したのか……」 →え???

 違う違う、知りたいのそこじゃない。柚希母がどうしても阻止したいほど本家がヤバイ場所なのはもう察しがついてる。
 押入れ開けるまでにこいつがやったと確信がないと「おかしいと思ったんですよ」にかかってこないが、そこ根拠は何なのか。
 説明不足だよ! 栗原さんSUGEEEで片付けないで!

 そして本家せっっま……。もっと古いながらに重厚で広々とした和室が広がってるのかと思ったら、大人三人入ったらギッチギチになるような狭さでガッカリ。天井もひっっっく……。
 これがこの地域一帯に影響力のある地主の家ですか。


■どこからか湧いてきた本家の人間に囲まれる →わかる
■気付いたら客間に。「薬でしょう」 →は???

 何その薬って。眠らされる薬? 別にお茶も出されてないのに? なんで雨宮はピンピンしてるの?
 そして栗原さんはいつの間に来てたの? 普通にあとからやってきて普通に客間に迎え入れられたの? はあ……?

 怪異の大元はとてもありがちな犬神家的妾の呪い。まあこの作品的に、そんな呪いは本当は存在してなくて、そうしなきゃいけないという妄執に取り憑かれていることそのものを呪いって呼んでるわけだけど。


■子供部屋下の謎スペースは子どもを守るシェルターでもあった。 →わかる
■東京の家に残されたヒロトくんが泣いているのを心配したトウヤは…… →え?
■この家に隠されていたのは、優しい家族の愛だった。 →いやいやいや!

 乳飲み子一人残していく場面描きながら愛情て! 無理があるよ! 無理がある!


 とにかく点と点のつなぎ方が変な映画だった。
 「ホラーのお約束でだいたいわかるでしょ?」というのに頼りすぎて随所が雑になってる。
 気絶して場面転換、もショートホラーならお約束で通るけど、こんな長い映画で何回もやられても「このシーンの進め方に困ったんだな」としか思えない。

 間取りや隠し通路の面白さは確かに……あるんだけどね。それだけだったね。

 あと銃つきつけられてからの寒い問答は何なの。カッコイイつもりか? それまで宗教とか祈りとか全く言及されてなかったのに急に「祈ってたまるかー!」みたいなの馬鹿馬鹿しいのだけど。
 しかもカメラに執着したせいでピンチに陥ってる状況で。

 そして最後は憑き物が落ちたようになり、執着してた配信をお蔵入りにしたくせに、なぜ最後に綾乃の映像を録ったのか。
 真実を語らせる上で撮影に応じるという体をとった方が粋な演出だ、と思ったのかもしれないけどその前後との辻褄が合わなくなってるよ。

 うん、変な映画だった……。



 関係ないけど『マッチング』と立て続けに観たので斉藤由貴がもう怖くてしょうがない。
 不気味な母親をやらせたら天下一品ですね……!
Misaco

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