黒猫ぽち

かかってこいよ世界の黒猫ぽちのレビュー・感想・評価

かかってこいよ世界(2023年製作の映画)
5.0
平和な週末になくることを祈って午後のお休みをとり、シネマスコーレでの最終上映にまいりました。

脚本家を目指している女性、真紀と映画の配給会社に勤める青年、国秀の恋愛を描いています。男性は在日韓国人3世、女性は在日韓国人に対する差別意識の強い家庭で育ってきていて、女性側の視点から描いています。

僕がこの作品を面白いと思ったのは、差別する側から描いていたことだと思いました。差別、虐待…そのものを描いた作品はたくさんあるんだけど、差別される側や虐げられる側、社会的に弱い立場、殺される側、善人の側から描く作品に比べて、反対の差別する側、虐げる側…から描く作品はそれほど多くないように思います。描きやすさのせいなのか、観客に受け入れられやすいせいなのか、もしかしたらその両方なのかなあ。

今日の上映はこの作品の劇場上映予定の最後だったから?監督の内田佑季さんがお忍びで来ていらっしゃって、上映後にひとことご挨拶をされました。内田監督は「差別する側から描きたかった」とおっしゃっていたので、監督が描き出したいと考えていたことは僕にはまあまあ届いていたようです。「まあまあ」っていったのは、監督のこめた想いを僕がきちんと受け止められているかどうかわからないからです。

最後で真紀は国秀に抱いていた偏見を克服するのですが、その場面でタイトルが大きく掲げられるところで、この作品の表題に込められた意味がわかったような気がしました。

細部がよくわからない場面もいくつかはありましたが、観終わった今、いろいろと感じさせてくれた作品だったと思います。
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