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ダンサー イン Parisのumisodachiのレビュー・感想・評価

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
4.8
『#EnCorps 』(英題 #Rise )鑑賞。日本公開未定。 (昨年ヨーロッパで鑑賞)

#パリオペラ座 のプレミエール・ダンスーズである#マリオンバルボー が主演したダンス映画。監督は『おかえりブルゴーニュへ 』などの セドリッククラピッシュ 。


将来を嘱望されていたバレエダンサーのエリーズは、本番中に足を負傷してしまう。もしかしたら治らないかもしれないと言われ絶望したエリーズは、元バレエ学校の友人に誘われて住み込みの賄いバイトをすることに。そこは芸術家たちに合宿場所を提供している邸宅。コンテンポラリーダンスのグループがやってきたことで、エリーズの人生が再び動き始める……。


クラシックをメインに踊っていたバレエダンサーが、コンテンポラリーと出会うことによって自己実現を果たしていく物語。足の負傷という身体的な挫折の他にも人間関係の破綻を経験し、深く傷ついたエリーズがダンスを通じて癒されていく物語でもある。


パリ・オペラ座のコンテンポラリーのレパートリーに欠かせない存在となっているマリオン・バルボーの魅力が爆発した作品で、圧倒的な身体表現がまず素晴らしい。また、少し固い表情も心を閉ざしかけているエリーズ役とマッチしていて良かった。


ストレートなダンスムービーで、ダンスシーンはたっぷりとしていて贅沢。その割に他の要素もけっこう盛沢山で複雑な話に合っている。父親との葛藤という要素についてはなくてもいいのでは?とも思ったものの、最後にはまんまと泣かされてしまった。この監督はストーリーテリングと感情の運び方がさりげなくてとても上手い。整体師?など笑いパートもしっかり用意されてて噴き出してしまう場面も。



さらに良いと感じたのは、エリーズがいろいろなことを議論するシーンが多いこと。コンテンポラリーとクラシックの違いとか、生きがいについてとか、愛についてとか、そういうことをシンプルかつ率直に語り合うシーンがとても多い。実際にフランスではこういう対話が日常的に頻発するということなのかもしれないが、互いに違う意見を真っすぐにぶつけ合う様子は爽やかで気持ちが良かった。
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