旅するランナー

ダンサー イン Parisの旅するランナーのレビュー・感想・評価

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
4.1
【本物の美しさ】

パリ·オペラ座の現役ダンサー、プルミエル·ダンサーズのマリオン·バルボー。
コンテンポラリー·ダンスの振付師ホフェッシュ·シェクター。
本物のバレエ・ダンスに圧倒されます。

冒頭のバレエ「ラ·バヤデール」の芸術力に心つかまれ、
ラストの現代舞踏の表現力に心揺さぶられます。
本物の美しさを見せてくれます。

それと、足首を負傷してバレエを踊れなくなった主人公が、ブルターニュのレジデンスでお手伝いさんをするんですけど、ここがとても素敵なところです。
芸術家(ダンサー、四重奏楽団、コーラスなど)グループが合宿して、練習できるようになってます。
シェフが料理を振舞い、気分転換に砂浜を散歩できたりします。
ここで、主人公は新たな道を切り開く決心をするわけです。
そういう意味では、ここのオーナーのおばちゃんも称賛に値します。

今作の原題は「EN CORPS」です。
フランス語で、一団となって、みんな一緒に、という意味です。
corpsには体、肉体という意味があり、ダンサーの研ぎ澄まされた身体を思い起こさせます。
死体という意味もあり、主人公がコンテンポラリー・アートの初めての練習で死体を演じたのとも繋がります。
また、corps de balletはバレエ用語で、群舞の踊り手たちです。
そして、Encore アンコールと同じ発音なので、ダンス人生のやり直しへの応援の気持ちも含まれています。
傷ついた主人公を、観客も含めて、周りのみんなが優しく見守るところが素晴らしいです。