泉を乱す

ダンサー イン Parisの泉を乱すのレビュー・感想・評価

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
5.0
いつも短いコメントだけ(書けばいい方)だけど、本作については想いが溢れるので、その想いを忘れぬよう記す。

まずセドリッククラピッシュは私が欧州に住むことのきっかけをくれた監督であり今こうして日本を飛び出してみると彼の描く世界観にまた改めてぴたっとはまれる自分がいることに気付く。

本作の主演のマリオンはミルピエのドキュメンタリーをみたときに目が釘付けになってそこからずっとインスタフォローしていた。実際にミルピエのドキュメンタリーでも足首を怪我していて、本作品でそこがトリガーになるというのも現実と虚構の間まるで「バレエの舞台上の物語」のようで不思議。

またキーとなるクラシックバレエの作品にラバヤデを持ってきてくれたことに感謝。もちろんオペラ座の十八番ともいえるからだが、たくさんいるニキヤ姫のアノニマスな状況がこの映画の物語の普遍性を引き立てる。何より音楽が個人的に大好きなのでなおさら感動する。

そしてバレエを小さいときから習っていたものとしての諦めであったり次の世界を見る感覚。私はまだ中学生のときにそれを経験したわけで、次の世界といっても大それたものではなかったが、この映画にもある失恋というのもまた次の世界をみる、次の人生に切り替えるという意味でシンクロしていると感じた。

セドリックならではの音楽の使い方や感情の描きかた、お馴染みの俳優、少し笑える要素すべてがつまっていた。

先日監督も訪れたボローニャを訪問し、私もみた景色が次の彼の作品に反映されるのかと思うと冒頭に戻って、欧州に来させてくれた監督の作品とまたリンクしていくんだと。
とにかくこの作品にも感謝です。
監督が作品を作り続けてくれることに感謝です。
泉を乱す

泉を乱す