千住コンサ

ポエトリー アグネスの詩 4K レストアの千住コンサのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

イ・チャンドン レトロスペクティヴ特集上映。第3作目。

監督独特の終始張り詰める緊張感が途切れない映像、壮絶な悲劇を淡々と描く脚本に惹きつけられ139分は長く感じなかった。
また2010年頃の🇰🇷韓国の地方都市の描写も興味深かった。

但し子供と一緒に観ると気まずいシーンがある。

↓以下ネタバレ↓


中3の孫のジョンウクと2人暮らしのミジャは66歳。ミジャは年金と介護ヘルパーの仕事で孫を育てながら何とか食いつないでいる。
娘は離婚して釜山で働いているが、生活費は送金してこない。
中3なんて一番祖父母や親が鬱陶しい年頃だが、ジョンウクはたまにバトミントン🏸に付き合ってくれる。

ミジャは町の文化センターの文化講座で詩に目覚める。詩の発表会や詩仲間の飲み会に参加するストーリーが淡々と進む。
詩のテーマを見つけるために、何気なく過ごしていた日常を思い返して、美しさを探すことで少女のように心ときめくミジャだったが、なかなか詩が書けない。

ある日、孫の仲間の父親から呼び出され、孫の仲間たち6人が輪姦した少女の自殺に対する示談話を持ちかけられる。

ショックを受けながらも仕事、詩の創作を続けるミジャだったが、ミジャはソウルの病院でアルツハイマーを宣告される。

詩の発表会や詩仲間の飲み会に参加して詩の創作を試みるストーリーと並行して、詩のように美しくはない汚い現実が淡々と突きつけられる。
被害者アグネスの追悼ミサ、犯行現場の教室、被害者の母の畑仕事場に足を運び、最後は女の武器で五百万ウォンをカン老人から調達するものの、最期は孫は警察に連れて行かれ、世の中は自分の思うように美しくないことを思い知らされる。

ミジャは深い哀しみを最後の詩に込めて、(最初のシーンは川からはじまるが)最後のシーンも川で終わる。

おそらくは若い頃もお洒落で快活でおしゃべりでモテていただろうミジャおばあちゃんは、最後は詩を綴ることで人生の光、美しさを見つけることが出来たのだろうか?

正直、個人的には詩の理解が難しかったが、孫とのバトミントンのシーンがとても余韻が残り、カン老人との日常の介護のシーン、筆談シーンも印象的だった。
千住コンサ

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