snuf

ポエトリー アグネスの詩 4K レストアのsnufのレビュー・感想・評価

4.6
映画の始めの頃はおしゃれでお茶目なおばあさんという印象だったミジャが詩を作ることを通して今まで見てこなかった世界を見つめ考えていく。
詩の先生が詩を作ることで一番大変なことは作ると決心し覚悟することというような台詞があったような気がする。
ミジャは覚悟したのだと思う。そしてイ・チャンドン監督も覚悟してこんな誠実な映画ができたのだと思う。
僕たちは周りに苦しかったり困っている人がいても自分の生活があるし立ち止まって考えていられない。立ち止まって考えると今を疑うことになり生きていき辛くなる。でもそれは本当に自分の人生を生き、世界を見つめることになるのか。
ミジャはヒジンという少女のことを考えて最後どこに行き着いたのか。

ここからは僕の解釈だけど
ミジャはヒジンと同じことをしたんじゃないか。
そのことをもって孫のしたことを伝えたかったんじゃないか。
自分の代わりに今度は娘が家で孫を待って孫のしたことを一緒に向き合わせるために呼び寄せたんじゃないかと思った。
ミジャは現実を見つめることで幸せになれたのだろうか。でもたとえつらいことに出会ってしまったとしても世界を見つめ、自分の人生を生きたのではないか。
僕たちは世界の真実を見つめ自分の人生を生きているのだろうか。
誰だれよりもいい暮らしをしている、誰だれが仕事をちゃんとしてなくてムカつく、
そう不平不満を言いながら経済優先の世界の中で自分の都合のいい見たいものしか見てこないで生きてきやしなかったか。
そう考えずにはいられなかった。
snuf

snuf