8Niagara8

ポエトリー アグネスの詩 4K レストアの8Niagara8のレビュー・感想・評価

4.0
男性女性、生と死、理想と現実、美と頽廃…
割とはっきりとした二項対立が見られるが、単純にそれだけに止まらず。
痛ましい事件は当事者たちやその親にとってはまるでどこ吹く風で、かなり醜悪に男性を描いているわけだが、実際的なミジャの反応は首肯できるものである。
一方、ミジャもどこか浮いているというか終始違和感を感じる雰囲気を醸す。これは事件が重なったことによるのか、元来のものなのか定かではないが、そこにも息苦しさを感じもする。

とはいえ、彼女に降りかかる悲劇的現実はあまりに心痛するものであり、不可逆的で完全なる解決、払拭などは叶わない。精神的な救済として詩作に取り組まんとするが、そこでまた別の現実を知るわけで。美しいものを追いかけてもどうしてもそうではないものも見えてくるが、そんな現実の中にも何かを探そうとする。
それによる心の機微をうまく描いている。
結局被害者の女子はその日に取り残され、みな勝手に未来に歩もうとする自己本位的な態度。
しかしながら、前述含めミジャの行動全てを肯定できるものではなく、弱くて醜く不器用な存在としての人間の是認とも受け取れた。
最後の詩は全てをその場で消化できるものではないが、この映画の結びとして相応しいと思う。
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