So

ポエトリー アグネスの詩 4K レストアのSoのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ミジャは畦道を歩き, 落ちている杏を見て, 木になっている時よりも落ちてからの方が熟れていて美味しいということに魅せられる. 通りかかったところには農作物を収穫している人がいて, 自分が詩を愛していることを雄弁に語る. 杏は, 木から落ちてまた別の人生を歩むのだと.
しかしこの一本道の帰り際に, 自分がとてつもなく残酷なことをしたと気づく. ミジャが話しかけたのは, いじめにあって自殺した被害者の母親だということ, ミジャはそのいじめっ子の保護者であること, そしてその母親に直接示談を持ちかけるために自分が今ここにいるということ. ひいてはミジャが持ち出した杏の詩的な話は, 母親にとって飛び降り自殺をした娘と重なってしまうということ. 認知症を患っているミジャは, 後になってそのことを思い出してしまう.
自分が形而上的に愛でていたもの(ミジャにとっての詩)が, ある人にとっては鋭利な刃物になる瞬間を描いた極上のシーン. 『シークレット・サンシャイン』とは真逆の構図で, 自身が加害者となってしまうことを追体験するような一幕. 天才としか言いようがない
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