まや

シークレット・サンシャイン 4K レストアのまやのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

年末の締めはイ・チャンドン監督特集にて。『オアシス』を先に見ていてとても心に刺さったので、他の監督作品も気になって鑑賞。

とにかく主人公に降りかかる災難や困難、苦痛が多くて本当にしんどくて観ていられなかった。もしここまでの絶望が自分に与えられたら生きていけないかもしれないなと思った。

ここまで追い込まれたら確かに何かに縋りたくなる。そんな時に宗教や神の存在は目に見えないからこそ救われる、見えないからこそ縋れるのだろうなと思った。自分自身はどの宗教にも属していないので、ただ洗脳されているようで見ていて怖かったが、この状況であれば仕方ないと思った。

しかも、ここでもまだ困難は続いていく。自分の子供を殺した犯人に会いに行き、許しを伝えると。しかし、この犯人が既に主人公同様に神の存在に許されていたという。神様なんていないと、ここで縋れるものが何も無くなってしまう。なんとか抑えていても、もう何も救ってくれないのだと壊れてしまうよと思ったし、神に復讐というか闘っていくしか無いなと思った。

ソン・ガンホ演じる社長はどんな時も寄り添ってそばにいてくれるけど、何もわからないからこそそばにいれる感じで、絶望真っ只中に居たらイライラしそうだなと思った。

宗教での集まりでの音楽で全て嘘だと歌われるシーンに全て詰まっていて、しんどさと向き合うことってどうしたらいいのだろうと思った。

最後、主人公が自分で鏡を見て、髪を切るシーン。生まれ変わりを想起させられる。最後まで光の中で終わるため、希望のある終わり方とも捉えられるが終始辛かった。

自分自身には子供がいないから子供を失った時の喪失感というか、自分が崩れ落ちてしまう感覚は想像しか出来ないけど、どうしても乗り越えられる気はしないなと思った。主人公が自分とはかけ離れているからか登場人物に感情移入するとかはあまり出来なかったので、それが作品への理解へとも繋がってしまったなと思った。

ただ、何となく作品のテーマ、雰囲気的にも深田監督の『LOVE LIFE』に近いなと思った。
まや

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