8Niagara8

シークレット・サンシャイン 4K レストアの8Niagara8のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

立ち上がりからシネはずっとどこか危うさを感じ、それが傍観者には怖くもある。
その伏線あるいは予感が悪くも消化され、さらにその彼女の危うさは全編を通して不変で、根底に鎮座し続ける。

イ・チャンドンはやはり人生の不可逆性を描くのがうますぎる。アイロニカルだが、その慧眼は鋭く、説得力のあるものである。
すがった自らを救ってくれたはずの神の絶対性があっさりと瓦解。
カタルシスのはずがかえっての絶望感。
この一連の展開は世俗的な視点での宗教の二律背反的な側面をかなり生々しく映している。宗教が悪いとかではなく、人間として生きることの皮肉が痛烈。
ソン・ガンホの俗物感が最高。どうしようもない馬鹿で、そうじゃないだろって感じであり続けるが、彼のチャームもあり、人間の二面的なところを分かりやすく体現する。

第三者的な視点で、抑制的だし、ずっと画面は暗い。
けれども、必ず一筋の光は当たる。
8Niagara8

8Niagara8