凄い。自分の映画史に深く刻み込まれた。
オープニングからずっとどこか不安にさせる主人公と息子そして出来事。何度も別の顔を見せてくる演技力凄まじい。
ふと空を見つめ、息子あるいは夫あるいは神に語りかけるシーン、混乱の先にあるミミズ、車のギア、笑いを誘うようなハプニング、叫び、デコレーションされた部屋たち。目に見えないものも見えるものも私は信じないという彼女がピアノを教える時、音もまた目に見えない物であること、それでも確かに存在する光。錯乱し冒涜を繰り返す姿の妖艶さに胸をかきむしられる。分かってしまう、自分にも同じ反逆心が、疑いの心が存在するから。
私にとって祈りは人生において重要なテーマであり故に映画の中にある祈りと神の描き方に共鳴し苦しい嬉しいこんなものを撮れて凄いの口があんぐり開いて塞がらない。全身全霊で尊敬の眼差しをイ・チャンドンに注ぐ。
