15歳で人気絶頂のエルヴィス・プレスリーに見初められ、共に生き、やがて訣別したプリシラの半生。彼女はその男を強く愛した。その思いと、彼に委ね、意のままに支配される生活を否定したことはなんら矛盾しない。後部座席から運転席へ。彼女の選んだ新しい人生に注ぐ光が眩しい。
"彼"は眉目秀麗で才能豊か、繊細ではあるけれど不自由させることもない、申し分のない男なんだけど、スーパースター故か、生まれついてかの傲慢さがやがて二人の関係に影を落とす。それは振り返ってみれば出会った頃からかも知れない。幼さで気づかなかった、優しさに隠された搾取。
プリシラが聡明なのは夫婦生活が上手く行かなかったことでエルヴィスを愛した少女時代を否定しないところで、彼女は彼女のままで、自立した新しい人生を歩き出す。不思議な後味の良さがあるエンディングだった
