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プリシラのtorumanのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.8
ソフィア・コッポラ監督最新作。
今までレビューをあげている作品はありませんがお気に入りの監督です♪
今回は6作目の鑑賞となります。

冒頭の足が埋まるくらいふかふかの絨毯と赤いマニュキュアの素足のアップ。
いつものガーリーでポップなソフィアワールドに引き込まれます。

作品の共通点は、
・ファッションや調度品がオシャレで可愛い
・メジャー曲を選択しながらも、変化球のような外しのセンスが良い
(今回はエルヴィスの楽曲は使用されていません。)
・ヒロインがキュート

プリシラ・プレスリーを演じたのはケイリー・スピーニー。
今まで1作も観た事が無い女優さんでしたが、この作品でベルリン映画祭の主演女優賞を獲得しています。
厳格な家庭で育てられた、慎ましやかな少女から、エルヴィスと結婚して変化していくセレブな女性を演じながら、根幹にそびえ立つ可愛らしさはソフィアの演出の賜物でしょうか?

今までの作品で数々のヒロインを描いてきましたが、今回の作品は、これまで描いてきたヒロインの集大成に感じました。

映画の構成としては、『マリー・アントワネット』と同様にスーパーセレブの環境に放り込まれたティーンエイジャーの側面はありますが、以下の2つの作品との関連性を強く感じました。

父親のドイツ赴任での軍隊生活や、エルビスとの行き違いの生活は、『SOMEWHERE』のエル・ファニングの自分の不安定な立ち位置に、押しつぶされそうになる女の子のようです。

エルヴィス好みに染め上げられ、グレースランドに囲われた生活は、『ヴァージン・スーサイズ』の自分の意思ではない狭い世界に閉じ込められた4人姉妹と同じです。

そこから、プリシラはしっかりと地に足をつけ、自分の世界へ羽ばたきます。
この2作品への前向きなアンサーのように感じました。

ドリー・パートンの「I Will Always Love You」(ホイットニー・ヒューストンの『ボディガード』の主題歌として有名)の流れるラストは、清々しさを感じる一歩手前の演出。

観る人によっては、起伏が無く淡々としていると感じるでしょうが、私はソフィア作品特有の余韻にやられました♪
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