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プリシラのペインのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
4.3
パッと見地味にも思えて、実は非常に細かい技巧の凝らされた“抑制”の映画。根底はある種のホラー。

過去のソフィア全部盛り集大成をサラリと円熟味を増してやってのけていて驚いた。

『エルヴィス』におけるオースティン・バトラーの神性エルヴィスは確かに圧倒的だったが、あちらがA面としたら、『プリシラ』は神話を解体する(非公式の)B面的作品。両作見ることで完璧に“補完”される気持ち良さがある。

本作『プリシラ』を昨年のベストワンに挙げたジェーン・カンピオン女史の言う通り、ソフィアのパッと見の優しく柔らかなビジョンや、淡く繊細なタッチに騙されてはいけない←大胆不適で厳格であると、まさに我が意を得たり。

※エルヴィスとプリシラの娘リサ・マリーは、亡くなる寸前まで本作における裏のエルヴィス、闇に切り込んだ描写、脚本に否定的であったとか✏️。昨年の『TAR』ケイト・ブランシェットに続いて、主演のケイリー・スピーニーがヴェネチア女優賞。10代から30手前までを鮮やかなファッション、ヘアメイクと共に華麗に演じきる。文句無し。

『ビガイルド』は、流石にオリジナル『白い肌の異常な夜』大好きマンとしては許容出来ない仕上がりでしたが、『プリシラ』は同じくA24作『ブリング・リング』(偏愛)以来の快作と言いたい。

実は日本版ポスターは、本国オリジナル版と比べると彩度がぐんと上がっているということを教えてもらい、たしかめてみらたしかに…と(>_<)あの自然光のちょっと暗めの画面こそが本作の肝であるというのに。
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