あーち

プリシラのあーちのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
4.0
まず、私はこの映画の柔らかい光の美しい演出に感動した。まるで2人のロマンチックな恋路を表現しているかのようだった。
女の子なら誰しも一度は妄想したことがあるだろう、憧れのアーティストとの恋人生活。この映画はそんな夢と、夢の裏に隠された現実を描く実話の物語である。
先を急ごうとするプリシラに、「欲望を支配しろ、さもなくば支配されるぞ」と諭していたエルビスが、映画終盤では欲望に支配されプリシラを半ば無理やり襲おうとしていたことがなんとも悲しかった。
恋に盲目的になっていたプリシラも、母になって大人になり強くなったのだろうか、子を守ろうという母性的意識だろうか、傲慢で癇癪が酷く、女癖も治らないエルビスにあまり干渉しなくなっており、エルビスと離婚をするずっと前から二人の関係には溝があったように感じる。それでも二人の間に確かな愛はあって、だからこそエルビスは離婚を受けいれたし、プリシラは彼との別れを悲しんだ。愛情深いエルビスと大人っぽいプリシラの二人の雰囲気は誰にも真似出来ない唯一無二のものであっただけに、2人の別れは大変切ないものであったが、エルビスの好みに染っていたプリシラが自分の道を見つけて、進もうとした勇姿は素晴らしいものだった。
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