まや

オアシス 4K レストアのまやのネタバレレビュー・内容・結末

オアシス 4K レストア(2002年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

仕事帰りに気になったので鑑賞。泣きすぎて、刺さりすぎて大変だった。こんな美しい恋愛物語に出会えて嬉しい。

主人公とヒロインはお姫様と将軍と呼び合って物語は進んでいく。正直、最初の出会いのシーンは自分の大嫌いな描き方だったが、主人公がちゃんと罪悪感を感じているように見えたので他作品とは違うなと思えた。

この2人は家族から煙たがられ、誰からも必要とされていないような立場に置かれているのだ。(主人公は前科があり、ヒロインは脳に麻痺がある)そんな2人が2人だけの関係を築き上げていく。この関係性の変化の描き方がとても丁寧で本当に純粋な恋愛物語として成立していた。そこに、障害とか人として突飛な行動をして人から理解されないという生きづらさが出て来るが、そこに重心をおいて重く描くというよりもそれは、2人の愛における壁だと言う風に思えたので、ラブストーリーにしか見えなかった。

1番最初、ヒロインを外へ連れ出す主人公。そこでヒロイン目線になり、主人公を見て美しい空を見るカメラワークで、涙が止まらなかった。誰かを愛することって、その人が自分の知らないところへ連れて行ってくれるからこそだよな、一人では辿り着けないところに二人なら辿り着けることだよなと強く思って、それがセリフではないカメラの目線で伝わってきた。

そこから2人で電話したり、デートしたりで、2人だけのルールができてくる。周りからどんなに理解されなくても2人がわかっていればいい。そんなオアシスを2人で作り上げていく。途中、ヒロインが普通の女の子のように振る舞う空想のシーンが出てくる度に涙が止まらなかった。2人の感情が具体的にセリフで語られるシーンがないのに通じ合っていく愛が発生していると思わされてすごいなと思った。

しかし、この壁が大きくなり、2人を切り裂くが、ずっと怖いと言っていた木の影を取り除くために主人公がその木を切りにいく。それに大音量のラジオて答えるヒロイン。これも2人だけにしかわからない繋がりのあるシーンだ。ここも号泣した。

主人公からの手紙を背景に自分の部屋で掃除をしているヒロイン。2人だけの美しいオアシスが美しい光と共に映し出されるのも良かった。

役者さんの演技あっての作品だからこんな難しい訳を演じられることにまず脱帽だし、こんなきちんと愛を描いた物語に出会えて感情を強く動かされる忘れられない作品となった。

誰かと出会い、誰かと関係を築くことの良さを再認識させてくれた。
まや

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