HiroyukiNihei

月のHiroyukiNiheiのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

『福田村事件』を先日観た後に本作を鑑賞。両者、鑑賞後の気分の下りっぷりは凄まじいものがある。

日常の平穏なシーンでも物々しさが終始漂っているように感じる。なにか起こるわけでもないのだが、とりわけ、磯村勇斗扮するさとくんの無邪気な、鋭く尖った物言いに揺さぶられる。二階堂ふみ演じる陽子もグサグサと本音をぶつけてくる。善意の皮を被った悪意が蔓延る現代社会に、嘘ばっかり吐くなと突き付けてくる。

群像劇にすることで、さまざまな視点が交錯していくが、観る側の感情移入は夫婦側に固定せず、揺さぶりをかけられる。ほっこりするシーンを交えながらも、その裏では狂気の沙汰という戦慄のクライマックス。

見て見ぬふり、臭いものには蓋、傍観することは罪なのか、自分たちの判断基準を炙り出し、揺さぶる。我々はさとくんを止めることができただろうか。
HiroyukiNihei

HiroyukiNihei