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月のcocoのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.1
【生きる意味とは、なんぞや】
を考えさせられる作品。

スターサンズ×石井裕也監督と来れば
鑑賞前から問題提起されるんだろうなと
身構え、しかも実際に起こった障害者殺傷事件を
モチーフにしていると言われたら、かなり
重たいテーマなんだろうなと容易に想像出来る。

そしてその犯人を大好きな磯村勇斗くんが
演じると聞けば観ない訳にいかない。

そんな訳でガイ・リッチー監督の新作や岩井俊二監督の新作とか気になるものは沢山ある中で
こちらを選択。

主演に宮沢りえさん、その旦那さん役に
オダギリジョーさん、障害者施設の先輩に
二階堂ふみさん、もうこの4人が出演してる
時点でお芝居の心配はいらないので、上映開始早々に話に入り込む。

障害者施設のシーンは、もはやホラー
レベルのおどろおどろしい雰囲気で
真っ暗。あんなに暗くしなきゃいけないのかな?
実際、あんな森の中で真っ暗な施設1日も
働けないwと、暗さばかりに気をとられる
前半だったけど、話が進むにつれ、考えさせられるセリフが多く、勿論、磯村勇斗くん演じる
犯人の行動は間違っているけど、言ってる事は
全否定出来ない自分もいる。

『ロストケア』でも思ったけど
言ってる事はある意味、ごもとっも。

だけど…いや、しかし…。←ここが大事な気がする。

確かに、人間らしく生きるとは?を
考えると何とも言えない気持ちに。

この作品の良かった点の1つに
ただ障害者殺人を取り上げるだけじゃなくて
夫婦の2人を通じて私たちは、
どれほどの価値が?障害者の事を
どう考えてるの?っていう所にも
グサグサ刺してくるところ。

特に、のほほんとしているオダギリジョーさん
の後半その胸の内が見えた時の演技が素晴らしく、泣ける。5万円の件が愛おし過ぎた。
終始オダギリジョーさんが素晴らしかった。

そして勿論、磯村勇斗くんの演技力と言うのか、
あの目!!
以前から思ってたけど、ヘラヘラした
爽やか青年からの光の消えた目に豹変する
あの瞬間。
こちらも終始素晴らしかった。

宮沢りえさんも二階堂ふみちゃんも
役としては、ちょっと嫌いだったけど
闇を抱えてる表現力はさすがです。

さて、問題提起の部分に関しては、
語るには、ちょっと時間下さいって
なる。
鑑賞後すぐに答えは出せないかな。

ただ、答えは出せないけど、
高畑淳子さんのシーンが全てかな。と。

きれいごと、嘘、隠蔽、見て見ぬふり、
臭いものには蓋、色々と観客に、あなたは?
を突き付けてくる。

スターサンズは、外さんなーー。
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