SHU

月のSHUのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.8
「かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、これからも起こる。」

今年の日本映画で今作を超えてくるものはおそらくないと思います。
そのくらい本作は尖鋭的で魂のこもった作品でした。
映画としてもかなり完成度が高いし、役者さんに至ってもこれ以上ないほどに素晴らしい。

許されない行為だというのは大前提としても、実在の事件の加害者や、今作でいえばさとくんのことを、当事者以外の人達が一概に非難することは絶対に許されないとまず思う。

この職業に限った事ではないけど、"自分の手は汚さずに、誰かに負担を押し付けている"のは揺るがない事実だし、正論や綺麗事言う前にお前が現場で働いて、その目や身体で経験してみろよというのが本質だと思う。
想像力フル回転して、最大限に寄り添おうとする姿勢。

あと、さとくんも少し言ってたけど、個人的にもすごく思ったのは、蚊とかゴキブリ等のいのちを奪うことはあまりに日常的なことになっているし、自分も含めて罪悪感すら覚えない人が多いと思う。
もし意思疎通が出来たらこれは180度ひっくり返るだろうし、人間に都合のいい生産性があるのなら殺めてはいけないとなるのか。
やっぱり生きとし生けるもの、本当のギリギリ最終手段のところまでは絶対に命は奪ってはいけないと思う。
SHU

SHU