ひでG

月のひでGのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.1
僕は映画館鑑賞の際、ポスターやスクリーン前の紹介スチルなどをSNS用に写真を撮っている。
この映画も宮沢りえの悲し気な表情のポスターを撮ろうとしたのだが、ポスター全体が黒く反射して、スマホを向けている自分がそこに写ってしまったので、諦めた。

ポスターに自分の姿、、、
まるでこの映画を象徴している現象。

映画は私たちに多くの情報や感情を投げかけてくれるのだが、当時にクオリティーが高ければ高いほど、映画から私たちに問いかけ返してくる。
本作はまさにそういう映画だと思う。

映画を観た後、あなたはどう考えるんですか?と、、それを無視することは出来ない。
登場人物たちは劇中ずっともがき苦しんでいるが、観た後の私たちもその何分の一かだが、もがきながら、答えを探していかなければならない。

舞台挨拶で宮沢りえさんが、
「賛否両論ある作品になるだろうが、ここから逃げたくない。」と語っていた。

まだまだ記憶に新しい実際のあの惨劇。
もちろん、本当の事件の犯人にも、映画の磯村勇斗さんが演じている人物にも、
1ミリも共感しない。
だが、宮沢りえさんが劇中、もう1人の宮沢りえに浴びせた僕らの中にも社会に残る
矛盾点に自信を持って反論できるのだろうか。

この映画は、宮沢りえとオダギリジョーの夫婦の結論を示していない。
まさに、その先を観客一人一人に託されたのだ。

迷い、戸惑う代表がこの夫婦なら、
嘘や欺瞞や裏表に失望する私たちの心の一面を表しているのが二階堂ふみだ。

宮沢りえに毒を吐きまくる、でも、それで自分を苦しめて行くこの役、上手いねえ

磯村、二階堂と夫婦の食事シーンも
気まずさMax!うちに秘めたドロドロをぶつけていくサマ、それに慄く夫妻、、、
恐ろしくも、スリリングな場面だ。

この映画を「否!」とする見方も分からなくもない。
施設の描き方などで、どうしても実際のことと混同されてしまう危険性があると思う。
きっと、一度離れたら、どんどん気持ちが
「否」に向かっていき、殊更に意味深なショットと、不快な気分になるやもしれない。

ただ、先に宮沢りえさんの言葉の書いたように、役者陣やスタッフの、今作らなくては!という並々ならぬ決意を隅々に感じることができた。

日本のエンタメやジャーナリスト、映画界がずっと逃げてきたテーマにチャレンジしたことは、とても大切だと思う。

もっと細かくシーンについて語りたいし、
自分はこう思う!と強く語りたいが
まだ、整理がつかない部分も多く、いろんな意味で自分の未熟さを感じている。

観終わった後、下の階の書店で原作を探したが、見当たらなかった。
辺見庸さんの原作を読んで、もう一度、書き加えたい、と思っている。

でも、、、疲れた😓
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