マダムにゃん

月のマダムにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

⚠️ネタバレを含みます

宮沢りえさんの昔を知る世代としてはビジュアルの変化を見ることはショックではありましたが、滲み出る役柄が、もう洋子にしか見えない感じでした。
キャスティングがすごくよかったです。
なかなか見えてこない夫との背景を保たせるオダギリジョーさんの幅のあるキャラクター性、最短距離で詰めてくる尖ったヤな感じにピッタリの二階堂ふみさん、難しい役どころを違和感なく演り切った磯村勇斗さん(PLAN75も深刻なテーマ好演でした)、あと、スナップショットで映る役者でない障害者の方々の生き生きとした感じが、ドキュメンタリーが混じってるようでした。

テーマが重く深いものであるため、洋子が作家であることは極めて重要と思いました。
津久井やまゆり園の事件を題材としたウケ狙いのキワモノ(映画のセリフの「このテーマでウケると思った?」)ではなかったです。
「この社会では見たくないものを排除する」ことを知らないふりをしている私たちに問いかけてくる映画でした。

ヒトなのかヒトでないのか、心があるのか心がないのか、話が通じるのか通じないのか、存在意義の線引きが殺傷という一線を超えた形で行われていく危うさが、現実に起こった事件であることと相まって、かなり自身をゆるがされる感覚を覚えました。
「太陽の下に新しきものなし」
(先になされたことはまた後にもなされる)
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